2013年御翼12月号その2

素晴らしい人生の三つの秘訣 ―― 思考、信仰、情熱

 人間は自分のもてる力を最大限に発揮すれば、驚くほどのことができる。そのために必要なことは、「物事を前向きに考える」ことで、劣等感を克服し自分に自信がもてるようになることである。
 しかし、いくら前向きに考えても、「心から信じること」が抜け落ちていれば意味がない。思考がロケットそのものだとすれば、信じることはロケットを宇宙に送る推進燃料といえる。思考は行為の親であるというが、実際に行為を引き起こすのは信じる力なのだ。更に、その道で一家をなした(権威となった)信念の人は、総じてあふれるばかりの情熱の持ち主である。人間はもともと情熱を燃やすように生まれついている。そもそも“enthusiasm”(情熱)という英語は“en theos”というギリシャ語からきたもので、神が乗り移った″神が宿った″の意である。情熱に燃えているとき、人は輝いて見える。心はとぎすまされ、鋭い直観が働き、生命力や創造力が平素よりぐんと高まっている。そんな状態にあるとき、人はやる気にあふれ、めざましい成果をあげる。(コリント第一 六・一九 「あなたがたは知らないのか。自分のからだは、神から受けて自分の内に宿っている聖霊の宮であって、あなたがたは、もはや自分自身のものではないのである。」)
 素晴らしい人生の三つの秘訣は、思考、信仰、情熱である。情熱のない人は、どうすれば情熱をかきたてることができるのだろうか。それは、大きな紙を用意し、自分の財産を列挙し、番号を打って、全部でいくつあるかを数えることである。@生きている(死んでいたらこれを書くことはできない)、A息ができる、B歩ける、C食べることができる、D頭の上には屋根がある、E読む ことができる、F立派な頭がある(考えることができることから、それがわかる)G日が照っている、H雨が降っている(すばらしいじゃないか。雨は必要だ)、I自分の抱えている問題(どうすればよいか、どうして抜け出すか考えるので、人間が鍛えられる)。
 ピール牧師は、どんなときも信仰が大切だという例として、ある実話を記している。
 1985年6月、地中海上空で起きたトランスワールド航空八七四便がイスラム過激派にハイジャックされたときの機長は、クリスチャンのジョン・テストレイクという飛行歴三十余年のベテランパイロットだった。十七日後、乗客乗員一五三名は解放され、事件は解決するが、当時の心境をテストレイク機長は以下のように語る。「首筋に銃口を突きつけられ、顔には手投弾を押しつけられ、すっかり緊張しました。しかし、とうの昔に神に委ねた身です。私が本当に神を信じる気があれば、どこまでも信じるべきです。もしキリストに私を生かす気があれば、ハイジャッカーが引き金を引いたり手投弾を投げたりすることはあるまいと自分に言い聞かせました」と。テストレイク機長は、ああした息詰まるような状況で冷静でいられたのは信仰のおかげであると言った。そして、飛行機の操縦が彼の一部になっているように、信仰も彼の一部になっており、信仰は年を追って強まっているという。もっと日常的な、例えば仕事上で窮地に立たされた場合でも、神へのゆるぎない信仰があるかないかで、持ちこたえるか倒れるか、そこに大きな差が出てくる。

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